こんにちは、株もっちーです。
こんな本を読んでみましたので、ご紹介です。
ジェイク・ローゼンフェルド、川添節子訳、「給料はあなたの価値なのか 賃金と経済にまつわる神話を解く」
英語のタイトルは、"You're paid what you're worth: And other Myths of the modern economy."
あなたは価値に見合った給料を支払われている。それは現代経済の神話。
という感じ。
感想
なかなか面白い気がしました。内容がハイレベルで難しめです。
価値と給料は違う
本書から受けるのは、価値と給料は違いますよ、というのが第一のメッセージです。
私はそうだよねーという感覚でした。みなさんはどうでしょう?
アメリカの給与は、市場の受給と成果主義によって決まると、誰もが思っているが、実はそうではないというところから始まります。
給与を決める4つの要素
給与は、権力・慣性・模倣・公平性によって決まる、ということだそうです。
ちょっと内容は小難しいので、間違っているかもしれませんがこんなふうな理解をしました。
権力:労働者と経営者のパワーバランス。経営者は株主利益優先し、労働者は組合参加率が減って力が弱くなる。それによって、CEOと労働者の給与格差が広がる。
慣性:一度決めた給与が変わりにくい。特に下方硬直性の話があって、上がりにくいし下がりにくい。
模倣:業界の別企業と似通ってくる。業界のリーダー企業の影響が大きめ。
公平性:他の人、特に職場の近くの人との違いが大きいと不満が募りやすいので、自ずと差が小さくなりがち。成果主義の測定の難しさもあって、給与全体に占める成果主義分の影響は意外と小さい。
労働者として高い給与を目指すならば、給与水準の高いリーダー企業に入るのがよさそうでしょうか。
リーダー企業なら、労働組合はありそうですが、結局給与を決めるのは経営者側です。
結局、労働者より経営者、経営者に口出しできる資本家側の立場が有利なことは変わらないですね。
労働組合の給与交渉で労働者から提示する金額を決めるための集会に参加したことがあるのですが、前年からちょっと上げるとか下げないとか、そんな程度の話に終止してしまうんですよね。
労働組合の幹部からは、業績が悪いときに給与を下げないでいた会社はありがたいでしょ、という論理で、業績が良くても大幅な昇給を要求しないという謎の力が働きます。今思い出せば、給与の下方硬直性の話を実感した出来事でした。
日本の平均賃金が上がらない話は、業種のバランスの問題なのかもしれない
日本だけじゃなくてアメリカでも賃金が上がらない業界があるんだなというのが、気づきです。派遣労働者、トラック労働者、建設労働者。小売、介護。ウーバーイーツなどのギグワーカー。
日本も業種によっては賃金が上がっているグループもあるのかもしれないですね。
以下のような平均だけのグラフを見ていると、事実を見誤るという、FACTFULLNESSの事例かもしれない。
最終章では、「年功序列制と階職制」の導入を勧めていまして、これにも驚きました。
そういう意味では日本の大企業は横並び意識が強くて、公平感はあるのかもしれませんね。
問題は、税金・社会保障料の比率が上がって、実質賃金が減っていることでしょうか。
また、キャピタルゲイン税を含めた富裕層への増税も必要と言っています。1000万ドルを超える所得にかかる税ということなので、ほんとに大富豪ですね。日本で言えば、10億円以上の所得がある人のようなイメージ。資産じゃなくて所得ですよ。まあそこまで行くと、お金の意味ってあまりないような気もしますので、トップがもらう分を労働者に分配する規制をかければいいのかなと思います。
NISAに課税とか、変なこと言う日本の政治家に比べれば、まともだと思います。
結局弱いのは給与労働者
まあ、結局給与労働者である限り、給与支払者の権力によって低く抑えられるのが常ですから、経済的自由を達成して立場の弱い世界でのゴタゴタから抜け出すのがいいなと思ってしまいました。